別名:不眠障害
吉川市の中村病院では、不眠症の診断から治療まで、精神科専門医による診療を行っています。「なかなか寝つけない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く目が覚めてしまう」「眠った気がしない」といった状態が続き、日中の生活に影響が出ているとき、それは不眠症かもしれません。不眠は生活習慣によるものだけでなく、身体の病気や服用中のお薬、ほかの精神疾患が背景にあることもあります。一人で抱え込まず、まずは当院にご相談ください。
当院の不眠症における特徴
精神科専門医による診療
当院の常勤医師は全員が日本専門医機構認定の精神科専門医および精神保健指定医の資格を持っています。不眠は単独で起こることもあれば、うつ病や不安障害などの精神疾患の一症状として現れたり、これらに合併したりすることも少なくありません。当院では精神科の専門的な視点から、不眠の背景にどのような要因があるのかを見極めたうえで、治療方針を検討いたします。
丁寧な問診による原因の見極め
不眠の背景には、生活リズムや嗜好品の摂取といった生活習慣のほか、身体の病気、こころの病気、服用中のお薬の影響など、さまざまな要因が関わっています。当院では、就寝・起床の時間や夜間の睡眠の状態、日中の眠気や活動の様子、カフェイン・アルコール・喫煙などの習慣、現在服用中のお薬まで、丁寧にお話を伺います。身体の病気やお薬の影響が疑われる場合には、近隣の医療機関をご紹介し、適切な治療につながるよう連携いたします。
依存性に配慮した薬物療法
睡眠薬に対して「やめられなくなるのではないか」というご不安をお持ちの方は少なくありません。当院では依存性の少ないお薬を選択し、できるだけ必要最小限の処方を心がけています。また漫然とした投与を避けるため、服薬を終了できそうな状態かどうかを、定期的に患者さまと確認・相談しながら進めてまいります。
不眠症とは
不眠症とは、寝つきが悪い、夜中に目が覚める、朝早く目が覚めるといった睡眠の問題が続き、日中の眠気や倦怠感、集中力の低下など、生活に支障が出ている状態をいいます。
大切なのは睡眠時間の長さそのものではなく、日中の生活に支障が出ているかどうかです。必要な睡眠時間には個人差があり、年齢や体調によっても変化します。夜間の睡眠時間が短くても、日中を問題なく過ごせているのであれば、必ずしも治療が必要とは限りません。また、不眠が継続的に繰り返されて初めて、不眠症と診断されることとなります。
一方で、眠れない状態が続くこと自体が精神的な負担となりますし、高血圧や糖尿病などの生活習慣病の要因ともなり得ます。短期的な不眠は、原則として身体に長期的な影響を与えることはありませんが、慢性的な不眠は生活習慣病の原因となり、身体に重大な影響を与え得るものです。「朝起きたときに休まった感じがしない」「日中の眠気で仕事や生活に影響が出ている」と感じる状態が続く場合は、お気軽にご相談ください。
不眠症の症状
不眠症の症状は、大きく4つのタイプに分けられます。
入眠困難は、布団に入ってもなかなか寝つけない状態です。中途覚醒は、夜中に何度も目が覚めてしまう状態を指します。早朝覚醒は、予定していた時刻よりも早く目が覚め、その後眠れなくなる状態です。熟眠障害は、睡眠時間は足りているはずなのに、ぐっすり眠れた感じが得られない状態をいいます。
これらは単独で現れることもあれば、複数が重なって現れることもあります。
また不眠症では、夜間の症状だけでなく日中の状態にも影響が及びます。強い眠気や倦怠感、集中力や意欲の低下、気分の落ち込みなどが現れ、仕事や学業、日常生活に支障が出ることがあります。
不眠症の原因
不眠の原因は一つではなく、複数の要因が重なって生じていることがほとんどです。
生活習慣に関わるものとしては、生活リズムの乱れ、運動不足、就寝前のカフェインやアルコールの摂取、喫煙などが挙げられます。心理的な要因としては、ストレスや不安、環境の変化などが関係します。
また、身体の病気による痛みやかゆみ、頻尿などが睡眠を妨げている場合や、服用中のお薬の影響で眠りにくくなっている場合もあります。
さらに、うつ病や不安障害などの精神疾患の一症状として不眠が現れることや、これらに合併して不眠が生じることも少なくありません。当院では、こうした背景を丁寧に確認したうえで治療方針を検討いたします。
不眠症の診断
不眠症の診断は、問診(医師による詳しい聞き取り)をもとに行います。
初診時には、就寝・起床の時間、夜中に目が覚めることの有無、眠った感じが得られているか、日中の眠気や倦怠感、活動の状況、仮眠の有無、夜間や休日の過ごし方、生活リズム、運動習慣、カフェイン・アルコール・喫煙などの嗜好品の摂取習慣、現在服用中のお薬などを伺います。
医師の判断により、睡眠日誌のご記入をお願いする場合があります。日々の睡眠の状況を記録していただくことで、ご自身では気づきにくい睡眠パターンの傾向が見えてくることがあります。
また、不眠が継続的に繰り返されていることも重要なポイントとなります。「週に1回特定の曜日に眠れない日がある」「ここ1週間くらい眠れない日が多い」といった場合には不眠症とは診断されないため、いきなり薬物療法を行うのではなく、経過観察や後述する睡眠衛生指導のみを行うことが原則となります。
なお、不眠が身体の病気や服用中のお薬によるものと考えられる場合や、睡眠時無呼吸症候群(SAS)など当院では検査が行えない領域が疑われる場合には、近隣の医療機関をご紹介いたします。
不眠症の治療
不眠症の治療は、睡眠衛生指導と薬物療法を組み合わせて進めていきます。
睡眠衛生指導・生活指導
当院では、通常の診察のなかで睡眠衛生指導や生活指導を行っています。就寝・起床のリズム、就寝前の過ごし方、カフェインやアルコールとの付き合い方など、睡眠を妨げている習慣がないかを一緒に確認し、無理のない範囲で整えていきます。必要に応じて睡眠日誌を活用しながら進める場合もあります。
下記のような薬物療法も行いますが、誤った睡眠習慣のままお薬を服用しても、薬の量が増えるばかりで質の良い眠りは得られません。正しい睡眠習慣を身につけた上でお薬を服用することで初めて、不要な薬物療法を避け、最小限の量で最大限の効果を発揮することができるのです。薬物療法は、この睡眠衛生指導とセットで行うことが何より大切です。
薬物療法
薬物療法を始める前に睡眠衛生指導を行う場合や、睡眠衛生指導と薬物療法を同時に組み合わせて進めることが原則です。
睡眠薬には主に、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、メラトニン受容体作動薬、オレキシン受容体拮抗薬があります。その他、一部の抗うつ薬や抗精神病薬、抗不安薬なども睡眠薬として使用される場合があります。依存性の少ないものを選択し、基礎疾患や患者さまの状態に応じて、これらの薬剤を組み合わせることで、薬剤の種類や用量ができるだけ必要最小限に抑えられるよう配慮しています。また漫然とした投与を避けるため、睡眠の状況や生活習慣の改善の具合などを加味し、服薬を終了できそうかどうかを定期的に患者さまと確認・相談しながら進めてまいります。自己判断でお薬の量を増やしたり中止したりせず、気になることは遠慮なく医師にお伝えください。
ほかの病気に伴う不眠の場合
不眠の背景に身体の病気がある場合は、その治療を最優先といたします。身体の病気の治療薬が原因となっている場合もあるため、他科と連携を取りながら、身体の病気の治療に影響のないように配慮しながら、必要に応じて不眠症の治療を行います。
うつ病や不安障害などの精神疾患が背景にある場合も、まずはその治療を優先いたします。もとの病気の改善とともに、不眠症の治療が必要でなくなることも少なくありません。一方で、不眠症の治療を並行して行うことがもとの病気の治療にも良い影響を与える場合があるため、状態に応じて薬物療法を行います。睡眠衛生指導についても、患者さまの状態に応じて無理のない範囲に調整いたします。
入院が必要になる場合
不眠症のみで入院による治療が必要となるケースは、ほとんどありません。
ただし、生活リズムが大きく乱れており、その立て直しを目的として入院をお勧めする場合があります。また、うつ病などほかの精神疾患を合併しており、そちらの治療のために入院が必要と判断されることもあります。
入院についてご不安な点や、判断が難しい場合は、お気軽に医療福祉相談室にご相談ください。
回復までの経過
不眠症の改善には、睡眠衛生指導と薬物療法を組み合わせながら、少しずつ生活のリズムを整えていくことが大切です。
睡眠の状態には日によって波があります。一度よく眠れた日があっても、その後また眠りにくい日が続くことは珍しくありません。一喜一憂せず、焦らずに治療を継続していただくことが回復につながります。
症状が安定してきた段階では、服薬を終了できそうな状態かどうかを定期的に確認いたします。ただし、服薬の終了には正しい生活習慣を身につけていることが大前提となるため、この点についても、丁寧に確認いたします。自己判断でお薬を中止したり量を調整したりせず、主治医と相談しながら進めていきましょう。
よくある質問
- 何時間くらい眠れていれば、受診しなくても大丈夫ですか?
- 必要な睡眠時間には個人差があり、体調や年齢によっても変化します。時間にとらわれず、「朝起きたときに休まった感じがしない」「日中に強い眠気や集中力の低下があり、仕事や生活に影響が出ている」と感じる場合は、お気軽にご相談ください。
逆に、夜間の睡眠時間が短かったとしても、日中の生活に支障がなかったり、日中の仮眠で補えているようであれば、大きな心配はいりません。 - 睡眠薬はやめられなくなりませんか?
- 精神科の医師の指示のもとで適切に使用している限り、過度にご心配される必要はありません。適切な睡眠衛生指導と組み合わせ、指示通りに服用していれば、依存が問題となることは極めて少ないと考えられます。
かつて使用されていた一部の睡眠薬は依存性が高く、過量服薬による危険性もあったため、現在もそのイメージが残っているのではないかと思われます。しかし近年の睡眠薬による治療は新しい段階を迎えており、依存性のリスクが少なく、安全性と効果が期待できるお薬も使用できるようになっています。
当院では依存性の少ないお薬を選択し、必要最小限の処方を心がけるとともに、服薬を終了できそうかどうかを定期的に確認しながら進めてまいります。
一方で、薬物療法を行わずに不眠で悩み続けることは、精神的な負担や生活習慣病の原因ともなり得ます。薬物療法が必要な状況であれば、ためらわずに治療を行うことが、生活全体を考えたときには有用な選択肢となります。
なお、用法・用量を守らずに服用した場合には依存のリスクがありますので、必ず医師の指示通りに服用してください。 - 市販の睡眠改善薬と、病院で処方される睡眠薬は何が違うのですか?
- 市販の睡眠改善薬は、主に旅先で眠れないときなど「一時的な不眠」を対象としたもので、アレルギーのお薬の眠気を応用した抗ヒスタミン剤が使われています。
一方、病院で処方するお薬は、脳の睡眠・覚醒のリズムに直接働きかけるもので、続いている不眠の症状に対してアプローチすることができます。市販の睡眠改善薬を使用しても不眠が続く場合は、医療機関にご相談ください。 - お酒を飲んで寝るのは、睡眠薬代わりに良くないでしょうか?
- アルコールは睡眠の質を下げ、かえって不眠を悪化させるためおすすめできません。
お酒を飲むと寝つきが良く感じられることがありますが、夜間に目が覚めやすくなり、深い睡眠が得られにくくなります。また耐性がつきやすく飲酒量が増えてしまう危険性や、睡眠薬とお酒を一緒に飲むことで予期せぬ副作用が出るリスクもあります。
寝酒は不眠を助長するおそれがあるため、控えていただくことが望ましいと考えられます。 - 睡眠薬を飲んでも効かない、途中で目が覚めてしまう場合はどうすればいいですか?
- ご自身の判断でお薬を増やさず、次の診察時にご相談ください。
不眠のタイプ(寝つきが悪い、夜間に目が覚める、朝早く目が覚めるなど)によって、適したお薬の種類や効き目の持続時間は異なります。お薬の種類や量を調整するだけでなく、誤った睡眠習慣があれば一緒に相談しながら整えていくことも大切です。 - 少しでも長く眠れるよう早めに布団に入っていますが、なかなか眠れるようになりません。
- 極端に早い時間に布団に入ることは、長時間眠れないまま横になり続けることとなり、かえって不眠が悪化することがあります。不眠の際には、一般的に言われる「早寝早起き」ではなく「遅寝早起き」が推奨されています。
眠れない状態で長く布団の中にいると、脳が「布団は目が冴えて不快な場所」と学習してしまい、余計に眠りにくくなる悪循環に陥ります。30分ほど経っても眠れない場合は、一度布団から出て、照明を落とした静かな部屋で眠気が訪れるのを待ってから、再び布団に入ることをおすすめします。
また、睡眠時間の短さを理由に起床時刻を遅らせたり二度寝をしたりすると、生活リズムが乱れ、やはり不眠を悪化させる原因となり得ます。早く眠るためには、早く起きることが大切です。 - 休日に寝だめや昼寝をしていますが、問題ありますか?
- 休日の朝の寝だめや、長時間の昼寝は、翌日以降の不眠の悪化や体調不良を招くため、控えていただくことをおすすめします。
休日に遅くまで寝ていると体内時計が後ろにずれてしまい、日曜の夜に眠れなくなったり、月曜の朝がつらくなったりする「社会的時差ぼけ」を引き起こします。休日の睡眠時間のずれは平日プラス1〜2時間程度にとどめ、朝は平日と同じくらいの時間に起きて光を浴びることが、睡眠リズムを安定させるコツです。
昼寝も同様に体内時計のずれを引き起こします。さらに長時間の昼寝は体のだるさの原因となったり、起床後の意欲を低下させて活動量の低下につながったりもします。昼寝をする場合でも「15時まで」「30分以内」にとどめておくことが大切です。
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