電気けいれん療法(ECT)は、頭部に電気刺激を与えることで脳内の神経活動を調整し、重症の精神症状を改善する治療法です。吉川市の中村病院では、薬物療法で十分な効果が得られない方や、速やかな症状改善が必要な方に対してECTを提供しています。「薬が効かない」「すぐに状態を改善したい」という場合は、担当医にご相談ください。
当院の電気けいれん療法における特徴
ECTを実施、修正型への移行を検討中
当院では現在、有けいれん型の電気けいれん療法(ECT)を実施しています。筋弛緩薬を使用するm-ECT(修正型電気けいれん療法)への移行についても、現在検討中であり、近い将来の導入に向けて準備を進めています。
修正型ECTは、有けいれん型と比較して身体的な負担が少なく、安全性が高い方法です。今後の体制整備によって、より安全で患者さまへの負担が少ない形でのECTを提供できるよう努めていきます。最新の体制については診察時にお問い合わせください。
幅広い疾患への対応
当院では、統合失調症・うつ病・双極性障害・レビー小体型認知症・パーキンソン病・器質性精神障害・緊張病状態など、幅広い疾患に対してECTを実施しています。薬物療法だけでは対応が難しいケースやきわめて緊急性の高いケースにおいて、ECTが重要な治療の選択肢となります。
「他の方法で改善しない」「副作用が心配で薬が使いにくい」という場合も、ECTという選択肢があることで治療の幅が広がります。特に高齢者や身体合併症を持つ患者さまにとって、薬を多く使えない状況でECTが有効な手段となることがあります。
丁寧な説明と同意に基づく治療
ECTを行う前には、医師から治療の目的・方法・期待される効果・考えられるリスクについて丁寧に説明し、書面による同意を取得します。患者さまやご家族が十分に納得したうえで治療を始めることを大切にしています。
疑問や不安はどんなことでも遠慮なく医師にお伝えください。「よくわからないまま同意してしまった」ということがないよう、理解できるまで説明を受けていただくことを大切にしています。
電気けいれん療法(ECT)とは
電気けいれん療法(ECT)は、頭部に微量の電流を流すことで脳内の神経活動を調整し、精神症状を改善する治療法です。1930年代から使われている実績のある治療であり、現在も重症精神疾患に対して世界中で広く行われています。
「電気けいれん」という言葉から怖いイメージを持つ方もいますが、ECTは適切な管理のもとで行われる医学的な治療です。薬物療法に比べて即効性が高く、薬が効かない場合にもきわめて高い効果を示すことがあります。また、薬物療法にて発生する有害事象を加味すれば、比較的安全性の高い治療です。
治療に不安を感じるのは自然なことです。疑問があれば、何でも担当医にご相談ください。ECTは重症精神疾患の治療において、医師が最善と判断した場合に勧める選択肢のひとつです。
ECTの適応となる疾患・患者さま
ECTの対象となる主な疾患は、統合失調症・うつ病・双極性障害(躁うつ病)・レビー小体型認知症・パーキンソン病・器質性精神障害です。
特に次のような状態にある患者さまに適応となります。切迫した希死念慮がある場合。拒食・食思不振による栄養状態の悪化がある場合。薬の内服を拒否している場合。薬物療法の副作用が懸念される高齢者や身体合併症のある方。複数の薬物療法を試みても十分な効果が得られない治療抵抗性の場合。昏迷状態・緊張病状態にある場合。強い精神運動興奮状態・幻覚妄想状態にある場合。重度のうつ状態や躁状態にある場合。これらの状況では、薬物療法より速やかな効果が期待できるECTが優先的な選択肢となります。また、パーキンソン病による運動障害(パーキンソニズム)にも一定の効果が期待できます。
ECTの流れ
まずECTの適応かどうかの確認として、身体診察・血液検査・心電図などにより、ECTを安全に施行できるかどうかを確認します。
次に説明と同意取得として、患者さまとご家族に対して治療の目的・方法・効果・リスクについて説明し、書面で同意を取得します。
ECT施行当日は、施行前のお食事を中止します。点滴をして麻酔薬投与によって眠っていただいた後に通電し、数十秒間けいれんが持続します。個人差はありますが、1時間程度で覚醒しますので、施行後はその日のうちにこれまで通りのお食事を再開します。
これらの治療を、週に2〜3回程度の頻度で、合計6〜12回程度(目安として計1か月前後)施行します。
経過観察として、治療終了後に効果の確認を行い、後療法(ECT後の薬物療法の選択)について検討します。数週間を目安に再燃の有無を確認しながら、安定した状態を維持するための治療を継続します。ECTは「1回やれば終わり」ではなく、その後の維持療法が回復を安定させる上で重要です。
効果と副作用について
ECTは薬物療法に比べて即効性が高く、重篤な症状に対しても極めて高い効果を示すことが期待されます。特にうつ病の重症例・緊張病・強い希死念慮がある場合に有効です。治療抵抗性の疾患に対しても効果が期待できる点が、ECTの大きな特徴のひとつです。
主な副作用としては、治療後の一時的な頭痛・筋肉痛・記憶の混乱・一時的な健忘(特に治療前後の記憶が一時的に曖昧になる)などがあります。多くの場合、これらの副作用は一時的であり、時間の経過とともに改善します。また、けいれん発作時に外傷のリスクもありますので、事故の起こらないように細心の注意を払っております。
副作用の程度は個人差があります。気になる症状が現れた場合は、すぐに医師にお伝えください。事前の説明でお伝えする内容以外の症状が出た場合も、遠慮なくご連絡ください。
費用について
ECTは保険適用の治療です。入院のうえで施行するため、入院費用とは別途治療費がかかります。自立支援医療制度や高額療養費制度を利用することで、自己負担を軽減できる場合があります。
ECTは入院を要する治療ですが、高額療養費制度の対象となるため、月ごとの自己負担には上限が設けられています。費用についての不安がある場合は、医療福祉相談室にご相談ください。治療にかかる費用の概算についても、入院前にご説明しますので、遠慮なくお聞きください。
よくある質問
- ECTは危険な治療ですか?
- 適切な適応判断・事前の身体評価・医師による管理のもとで行われます。「電気ショック」という言葉のイメージと異なり、患者さまに過度な苦痛を与えることのない、安全性が確立した治療法です。不安に感じていることがあれば、担当医に率直にお伝えください。
- 意識はある状態で行われますか?
- 麻酔薬で眠っていただいている間に行われる治療です。また多くの場合、施行前後の記憶は欠損しますが、基本的には記憶力が低下する治療ではありません。詳細は担当医にご確認ください。
- 何回くらい施行しますか?
- 週に2〜3回のペースで、合計6〜12回程度(1か月前後)を目安にしています。ただし症状の経過や効果に応じて回数は調整します。
- ECTで記憶がなくなることはありますか?
- ECT前後の一時的な記憶の混乱や健忘が起こることがあります。多くは治療終了後1か月程度で正常に回復しますが、個人差があります。不安な場合は担当医に詳しくご相談ください。記憶の問題については、治療前に詳しく説明しますので、疑問があれば何でもお聞きください。
- ECT後も薬の服用は必要ですか?
- ECT後の再燃予防のため、後療法として薬物療法を継続することが大切です。ECTで症状が改善した後も、薬物療法を組み合わせることで安定した状態を長く維持することができます。薬の選択については医師と相談して決めます。
- ECTはどんな施設でも受けられますか?
- ECTを実施している施設は限られています。当院では精神科専門医のもとでECTを実施しており、他院からの紹介でのご相談も可能です。「他の病院で勧められた」「ECTを受けられる施設を探している」という場合もお気軽にご連絡ください。
- ECTを受けることを家族に反対されています。
- ECTを行う際には、本人の同意に加えてご家族への説明も行います。ご家族が不安を持つ場合は、医師からの詳しい説明の場を設けることができます。「理解してから決めたい」というご要望には丁寧に対応しますので、まずはご相談ください。
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