本文へスキップ

双極性障害(躁うつ病)

別名:躁うつ病/双極症

双極性障害(躁うつ病)は、気分が高揚する「躁状態」と、気分が沈む「うつ状態」を繰り返す精神疾患です。吉川市の中村病院では、精神科専門医による正確な診断と、一人ひとりの状態に合わせた薬物療法・入院治療を行っています。「気分の波が激しい」「エネルギーが有り余る時期と何もできない時期が交互に来る」という場合は、一度ご相談ください。

当院の双極性障害における特徴

専門医による正確な診断と個別の薬物療法

双極性障害は、うつ状態だけが目立つ時期にはうつ病と見分けがつきにくく、誤った診断のまま長期にわたって治療が続いてしまうケースが少なくありません。正確な診断が下されるまでに平均10年間かかるとも言われています。当院では全常勤医師が精神科専門医・精神保健指定医の資格を持ち、詳細な問診と経過観察のなかで正確な診断に努めています。

薬物療法では、患者さまごとの症状・体質・生活スタイルに合わせた共同意思決定(SDM)による処方を行い、定期的な血液検査で副作用を丁寧にモニタリングします。気分安定薬や抗精神病薬など、双極性障害に適した薬を組み合わせながら、安定した状態を長く維持できるよう調整を続けます。持続性注射剤の活用なども含め、患者さまのライフスタイルに無理なく合った形で治療を継続できるよう努めています。

躁状態・混合状態への迅速な入院対応

双極性障害の躁状態や混合状態は、本人に病識がなく周囲との摩擦が起きやすいため、早急な対応が求められることがあります。当院は180床の入院病床と複数の保護室・個室を備えているため、様々な状態の患者さまに対して、その特性に応じて迅速な急性期対応が可能です。

特に「散財が止まらない」「眠らずに活動し続けている」「暴力的になっている」といった場合は、取り返しのつかない事態を招きかねません。このような場合には、本人だけではなく、ご家族などかかわりを持つ周囲の方々の生活を守るためにも入院治療が有効です。入院の可否の判断は医師が行いますが、手続きなどについては、医療福祉相談室でご相談いただけます。ご家族だけでのご相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

入院について詳しく

退院後も安定した生活を支える体制

双極性障害は慢性的な経過をたどりやすく、長期にわたる治療が必要な病気です。退院後は通院治療を継続しながら、訪問診療・訪問看護・デイケア・シェアハウスなど、当院グループの多様なサービスを組み合わせることで、生活の安定と再発予防に取り組んでいます。

ご高齢の方であれば、グループ内の介護老人保健施設ケアリングよしかわや居宅介護支援事業所よしかわとも連携しており、医療と生活の場が切れ目なくつながる環境を整えています。病状が落ち着いた後も孤立せず、地域の中で安心して暮らし続けるための体制を整えることが、当院のグループ全体の目標のひとつです。

双極性障害とは

双極性障害は、気分が著しく高ぶる「躁状態」と、気力が失われ沈み込む「うつ状態」が繰り返し現れる脳の病気です。以前は「躁うつ病」とも呼ばれていました。

気分の波の大きさによって、躁状態が著しい「双極Ⅰ型」と、躁状態が比較的軽い「双極Ⅱ型」に分類されます。躁状態とうつ状態が同時に混在する「混合状態」が現れることもあります。双極性障害は、適切な治療によって状態を安定させることができます。一方で、自己判断で薬をやめてしまうと再発・悪化しやすいため、主治医と長期的な関係を築きながら治療を続けることが重要です。

双極性障害の症状

躁状態では、気分が高揚して眠らなくても元気でいられる、次々とアイデアが浮かんで話が止まらない、自分が特別な存在のように感じる、高額な買い物を繰り返すといった変化が現れます。怒りっぽくなったり飲み歩いたりといった変化が生じることもあり、トラブルに発展することも少なくありません。本人は「調子が良い」と感じることが多く、病気であるとの自覚が持ちにくいのが特徴です。

うつ状態では、気分の落ち込み、意欲や関心の消失、不眠や過眠、食欲の低下や亢進、集中力の低下、希死念慮などが現れます。うつ病のうつ状態と似ていますが、双極性障害のうつ状態は過眠や過食が目立つ場合があります。自殺に至ることもある、予断を許さない状態です。

これら躁状態とうつ状態の特徴が同時に混在する場合には、混合状態と言われることもあります。

これらの状態が数日から数か月単位で交互に繰り返されることが多く、状態によって全く別の病気のように見えることもあります。

双極性障害の原因

双極性障害の原因は完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質(ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリンなど)のバランスの乱れが関係していると考えられています。遺伝的な要因が比較的強い疾患とされており、ストレスや睡眠不足、生活リズムの乱れなどが発症の引き金になることもあります。

双極性障害の診断

診断は、精神科専門医による詳細で丁寧な問診のうえで、国際的な診断基準などに照らして総合的に判断します。現在の症状だけでなく、過去に「異常に元気だった時期」「眠れなくても活発に動き続けた時期」がなかったかを確認することが重要です。

うつ症状だけで受診した場合、双極性障害であることに気づかれないまま経過することがあります。「うつ病の治療を続けているが効果が出にくい」「抗うつ薬を飲むと逆に興奮してしまう」「気持ちは落ち込むのに活動的」「眠り過ぎる」「食べ過ぎる」などという方は、双極性障害の可能性も視野に入れた診療を行うことをお勧めします。

双極性障害の治療

双極性障害の治療の中心は薬物療法です。気分安定薬(炭酸リチウム・バルプロ酸など)や非定型抗精神病薬を使用し、躁・うつそれぞれの急性期を乗り越えるとともに、再発を予防する維持療法を継続します。双極性障害は治療を中断すると再発することが多い病気です。自己判断で治療を中断することなく、主治医と相談のうえで確実かつ安定的に治療を継続することが、極めて重要となります。

また、十分な睡眠をとること、規則正しい生活リズムを保つことが再発予防に非常に重要です。精神療法(支持的精神療法)では、病気の特徴や治療継続の重要性について話し合うとともに、病気と上手に付き合うための方法や生活面の指導、自分のストレスパターンに気づく力を育てる、ストレスへの対処法を相談する、といったことを通して、安定した状態を維持できるように対応していきます。薬物療法で効果が不十分な場合や、切迫した症状がある場合には、電気けいれん療法(ECT)を行うこともあります。

薬物療法について詳しく 電気けいれん療法(ECT)について詳しく

入院が必要になる場合

躁状態で次のような状況が見られる場合は、入院が必要と判断されることがあります。高額な買い物や借金を繰り返している。一日中活動して全く眠れない状態が続いている。飲み歩きや暴力・口論が頻繁に起きている。「自分は神だ」「億万長者だ」といった妄想的な発言がある。警察沙汰やトラブルを繰り返す。薬を自分でやめてしまっている。電気けいれん療法を希望する。

うつ状態で希死念慮が強い場合、食事ができない状態が続く場合、身の回りのことが自分でできなくなっている場合、「お金がなくなってしまった」「大変な病気にかかってしまった」「自分はもう死んでしまっている」「自分は罪深い罪人だ」など妄想的な思考になっている場合、薬を飲めなくなっている場合などで、入院治療が必要となります。入院を検討される場合は、ご本人・ご家族からのご相談を受け付けています。

回復までの経過

双極性障害は一度回復しても再発しやすい病気です。気分が安定している維持期でも、予防のための服薬を継続することが非常に重要です。自己判断で薬をやめてしまうと、数か月以内に再発するケースが少なくありません。服薬管理や症状の確認、生活のサポートなどのために訪問看護を利用することで、再発のリスクを下げることができます。

症状が落ち着いてきた段階では、デイケアへの参加や段階的な社会復帰に向けた取り組みをご提案することもあります。「完全に症状がなくなるまで待つ」ではなく、無理なく生活の幅を少しずつ広げていくことでさらなる改善が得られ、長期的な安定にもつながります。主治医と信頼関係を築きながら、長期的な視点で治療を続けることが回復の鍵です。

デイケア・デイナイトケアについて詳しく 訪問診療について詳しく

よくある質問

双極性障害とうつ病の違いを教えてください。
最大の違いは「躁状態」の有無です。うつ病は気分の落ち込みが主な症状ですが、双極性障害はうつ状態だけでなく、気分が高揚する躁状態(または軽躁状態)も現れます。同じうつ状態でも、過眠や過食がある、活動的である、季節性がある、発症年齢が若い、うつ状態を繰り返す、などの特徴がみられる場合もありますが、実際にはこれらを見分けることは容易ではありません。うつ状態だけで受診した場合に双極性障害と気づかれないことがあるため、過去の「異常に元気だった時期」を医師に伝えることが重要です。
薬は一生飲み続けなければいけませんか?
再発しやすい疾患であるため、症状が安定している時期も含めて長期的な服薬が推奨される場合がほとんどです。薬をやめるかどうかは、医師と十分に相談したうえで判断してください。自己判断での中断は再発リスクを高めることが知られています。
家族が躁状態で困っています。本人が受診を拒否する場合はどうすればよいですか?
まずはご家族だけで当院の医療福祉相談室にご相談ください。受診を勧める方法や、緊急時の対応についてアドバイスいたします。ご本人に病識がない場合でも取れる対応策はありますので、一人で抱え込まずにご連絡ください。
仕事を続けることはできますか?
症状の程度や職場環境によって異なります。軽躁状態のときは「仕事がはかどる」と感じることがありますが、実際には判断力が低下していることもあるため注意が必要です。主治医と相談しながら、無理のない範囲で社会生活を続けることを目指します。休職が必要な場合は診断書の発行も可能ですので、必要な場合はご相談ください。
双極性障害は遺伝しますか?
遺伝的な要因が関与していることは知られていますが、「必ず遺伝する」という病気ではありません。家族に双極性障害の方がいたとしても、必ずしも発症するわけではありません。不安に思われる場合は、外来でご相談いただけます。
双極性障害のうつ状態に抗うつ薬を使ってもよいですか?
双極性障害のうつ状態に抗うつ薬だけを使用すると、躁転(うつから躁状態への急激な変化)を引き起こすリスクがあります。双極性障害が疑われる場合は、抗うつ薬は原則使用せず、気分安定薬などを中心とした治療が基本となります。ただし、一部例外となることもありますので、必ず専門医に相談のうえで薬を使用してください。

最終更新日:

電話する 初診の流れ アクセス