別名:神経性やせ症/神経性過食症
摂食障害は、食べること・体重・体型に対する強いこだわりや歪んだ認識によって、食行動に深刻な問題が生じる精神疾患です。吉川市の中村病院では、精神科専門医と管理栄養士が連携し、摂食障害の診断・治療・栄養管理を行っています。「食べられない」「食べ過ぎてしまう」「体重のことで頭がいっぱいになっている」という方は、まずはご相談ください。
当院の摂食障害における特徴
精神科専門医と管理栄養士による連携診療
摂食障害の治療には、精神的な側面と身体的な側面の両方への対応が欠かせません。当院では精神科専門医による診察に加え、管理栄養士による個別の栄養指導を行う体制を整えています。「食べたくても食べられない」「食べ方がわからなくなった」という方も、管理栄養士と一緒に少しずつ食事との関係を取り戻していくことができます。
精神的な治療と身体的な回復を両輪で進めることが、当院の摂食障害治療の基本方針です。薬物療法・支持的精神療法・栄養指導を組み合わせながら、一人ひとりのペースに合わせて治療を進めます。
入院による安全な医療管理体制
極端な低体重やバイタルサインの異常、血液検査の数値に問題がある場合など、身体的に危険な状態では入院による集中的な医療管理が必要です。当院は180床の入院施設を持つため、身体症状に対しても一定の対応ができる体制を整えています。ただし、重篤な場合には総合病院と連携し、緊急時の治療を依頼する場合もあります。
入院中は医師・看護師・管理栄養士・精神保健福祉士など多職種チームが連携し、身体の回復と精神的な安定を同時に進めます。退院後も、外来通院・訪問診療・デイケアなどを通じた継続支援を行います。「退院後が不安」という方にも、グループ全体の体制でお支えします。
ご家族からの相談にも対応
摂食障害は本人が「病気だと思っていない」「受診したくない」という場合も多いです。当院ではご家族だけの相談にも対応しており、どのように接すればよいか・受診につなげるにはどうすればよいかなど、具体的なアドバイスをお伝えします。また、オンライン診療(メドレーCLINICS)や訪問診療の利用も可能ですので、外出が難しい場合はご相談ください。
摂食障害とは
摂食障害は、食行動・体重・体型に対する強い執着や歪んだ認識によって引き起こされる精神疾患の総称です。代表的なものに神経性やせ症(拒食症)と神経性過食症(過食症)があります。
摂食障害は精神科的な問題であると同時に、低栄養・電解質異常・骨粗しょう症・心臓への影響など深刻な身体的合併症をもたらすことがあります。場合によっては命に関わる状態になることもあるため、早期の受診が非常に重要です。「この程度でいいのか」と悩まずに、まずは専門家にご相談ください。
摂食障害の症状・種類
神経性やせ症(拒食症)は、食事を著しく制限することで体重が極端に低下するにもかかわらず、「まだ太っている」という認識が変わらない状態です。食べることへの強い恐怖、極端な食事制限・絶食、過度な運動、体重や体型への誤ったこだわり(ボディイメージの歪み)が続きます。月経不順・無月経、低体温、体毛増加、倦怠感、骨粗しょう症なども現れます。
神経性過食症(過食症)は、大量の食物を短時間で食べてしまう過食エピソードを繰り返し、その後に罪悪感から自己誘発嘔吐・下剤使用・絶食・過剰な運動などの代償行為を行う状態です。体重が標準範囲内であっても、食行動のコントロールが著しく困難になっています。外から見てわかりにくいため、長期間一人で苦しんでいる方も少なくありません。
摂食障害の原因
摂食障害の原因は複合的であり、一つの要因だけで発症するものではありません。やせ願望・体型・外見に対する社会的なプレッシャー、自己評価の低さ・完璧主義・感情のコントロールの難しさ、家族関係や対人関係のストレス、トラウマ体験などが複合的に関与するとされています。
「意志が弱いから食べてしまう」「自業自得だ」という問題ではありません。摂食障害はこころと脳の病気であり、専門的な治療が必要な状態です。
摂食障害の診断
症状を隠してしまう方や、自分が病気だと気づいていない方も多いため、受診のきっかけはご本人以外からのご相談であることも少なくありません。診断は、精神科専門医による問診と身体状況の確認をもとに行います。食行動の変化・体重の経過・身体症状・精神状態を総合的に評価します。血液検査・心電図などの身体的な検査も、治療方針の判断に必要な場合があります。
「受診するほどでもないかもしれない」と思っていても、症状が続いているようであれば早めにご相談ください。早期の介入が回復への近道です。摂食障害は放置すると身体的な危険が高まりますので、「自分だけで何とかしよう」と抱え込まずに受診をご検討ください。
摂食障害の治療
摂食障害の治療は、身体的な回復と精神的な回復を並行して進めることが基本です。
身体的な回復においては、安全な体重・栄養状態の回復が最優先となります。管理栄養士による個別の栄養指導のもと、無理のない形で適切な食事を取り戻していきます。急激に食事量を増やすことは身体的なリスクになることもあるため、極めて低いカロリーから慎重に進めます。
精神的な治療では、薬物療法(うつ・不安症状への対応)と精神療法を組み合わせます。体重や体型への過度なこだわり、認知の歪みを修正し、正しい食習慣を身につけるように関わります。思春期の患者さまに対しては、家族が治療の主導権を握ってサポートする家族療法が高い効果を発揮する場合があります。また、単に食事量を増減させることばかりを注視することなく、食行動の裏にある抑うつや対人関係のストレス、自己肯定感の低さといった心理的要因へのアプローチも非常に重要です。近年では、感情調節を学ぶ弁証法的行動療法(DBT)や、対人関係の歪みを整える対人関係療法(IPT)なども有効とされています。
薬物療法としては、抑うつ気分が強ければ抗うつ薬、衝動性が抑えられなければ気分安定薬や抗精神病薬、強い不安に対しては抗不安薬など、表出される症状に対して適宜対症的に行います。
食や体型への認識を少しずつ整えながら、自己評価を高め、感情と食行動の関係について理解を深めていきます。ご本人のペースを大切にしながら、焦らず進めることが回復の基本です。
入院が必要になる場合
以下に該当する場合は入院治療が必要と判断されることがあります。極端なやせ(BMI13以下程度が目安)がある場合。バイタルサインの著しい異常(低血圧・徐脈・低体温)が見られる場合。電解質異常・肝機能障害・腎機能障害など血液検査に異常がある場合。深刻なうつ状態・自傷行為・希死念慮がある場合。日常生活のセルフケアが困難になっている場合。生命の危険がある状態の場合。
入院の判断が必要かどうかについては、医療福祉相談室にご相談いただくことも可能です。ご家族からのお問い合わせも受け付けています。
回復までの経過
摂食障害の回復は長期間にわたることが多く、身体的な回復が先に進んでも、食や体型への認識の変化には時間がかかります。再発しやすい疾患でもあるため、症状が落ち着いた後も継続的な外来通院が重要です。
回復の過程では、良くなったり悪くなったりを繰り返しながら徐々に回復していくことが一般的です。「良くなっていない」「また繰り返してしまった」と感じる日があっても、それは回復の過程をみているだけかもしれません。一人で抱え込まず、医療スタッフやご家族と一緒に少しずつ取り組んでいきましょう。摂食障害からの回復は時間がかかることが多いですが、継続した治療と周囲のつながりが大きな支えになります。
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よくある質問
- 「食べたくても食べられない」のですが、意志の問題ですか?
- 意志や努力の問題ではありません。摂食障害はこころと脳の病気であり、専門的な治療が必要です。一人で解決しようとするよりも、専門家に相談することが回復への確かな一歩となります。
- 過食後に吐いてしまいます。受診してよいですか?
- もちろんです。嘔吐を繰り返すと電解質異常や歯・食道への影響が出ることがあり、身体的にも危険な状態になる場合があります。早めにご相談ください。
- 体重は標準範囲ですが、食行動のコントロールができません。
- 摂食障害は体重が標準範囲であっても発症することがあります。食行動に強い苦しさやコントロールの難しさを感じているのであれば、受診の対象となります。
- 家族が食べていないのですが、本人が受診を拒否しています。
- ご家族だけの相談を受け付けています。どのように関わればよいか、受診につなげる方法などについてアドバイスします。まずはお電話でご相談ください。
- 入院は長期間になりますか?
- 身体状況や治療の経過によって入院期間は異なります。身体的な安定を取り戻すことが優先であり、安全な状態になれば外来への移行を検討します。
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